
ある公立中学で授業参観が行われたときの話です。先生が話をしているあいだ,後ろに並んだ一部のお母さんたちは私語を繰り返したり,携帯を使ったりしていました。それだけでも先生はいらいらしていたのですが,突然1人のお母さんが廊下に出てタバコを吸い出したのにはさすがに腹が立ち,帰ってくれと言ったそうです。教室で吸わなかっただけましかなと,あとで苦笑していましたが,もう引退したこの先生は私の姉です。
なかには立派なお母さんもいたそうで,その授業参観中に携帯でメールをしている生徒を後ろから見つけると,そこまで行き「授業中に何しているの!」と怒鳴ったそうです。そのお母さんの子は別の席に座っていて,「母さん,恥ずかしいからやめてくれ~」と叫び,クラスは爆笑し,なごやかに授業は進んだそうです。
しかし,何かにつけて身勝手な親の行動には本当に神経をすり減らしたと,私の姉はよく愚痴をこぼしていました。これは,私立中学では起こらないことだと思います。身勝手なことをすれば生徒は退学になりますから。公立中学ではいわゆるモンスターペアレント問題があり,いま政府はそれに対処するための法案を考えているという話があるようです。
中学・高校時代は精神的に急成長する時期です。親の助けを求めにくい様々なことにぶつかり,自分で考えて行動しなくてはなりません。そのときに助けてくれるのは友達です。中学受験をするのは,よい友達との出会いを経験するためだと,私は自分の経験から考えるようになりました。
私は小学校時代から父親に「お前は東大に行け」と言われていました。実際には安田講堂事件で受験はできず(受験しても合格できたかは,はなはだ疑問ですが),入学した横浜国大造船工学科も経済的理由で中退せざるを得ませんでした。それでも,あとから考えると中学受験,高校受験をして良かったと思っています。
小学校は中野区の公立小でしたが,東京学芸大学付属小金井中に入り,高校は都立西校(当時毎年東大の合格者を100人以上出していました)に進みました。家庭はちょっと貧しく私立に進むことは想定されておらず,中学受験は国立1校,高校受験は都立1校のみという,今考えると恐ろしい受験でした。
この中学・高校生活は非常に楽しいことの連続で,よく勉強し,よく活動しました。悪さをして怒られることもありましたが(S先生,N先生,M先生,ごめんなさい。ちょっと反省しています)学校に通う毎日が楽しく,長い夏休みは退屈で早く学校が始まらないかと思っていたくらいです。いまも何人かの友人と付き合っていますが,彼らに当時教わったことは自分に大きな影響を与えました。「人との付き合い方」「礼儀正しい話し方」「助け合うこと」「知識欲」「芸術への興味」など,すべて彼らに教わったことばかりです。いまだに自分はどれも未熟者なので,偉そうには言えませんが(>_<)
公立中学と私立中学の生徒の質を比べるのは非常に乱暴な話です。でも,私にとって中学受験の結果は「よい友達に出会えた」でした。
次回もこのテーマを扱います。学校での勉強についてです。ごく一部の方が読んでくれているみたいでありがたいです。毎週土曜日に更新しますのでよろしくお願いします。

