
割合とは,わり算の答えです。具体的な例で説明します。男子4人,女子6人,合わせて10人の子どもがいたとします。そこで男子の割合を考えると,4÷10=
です。男子の全体に対する割合は (0.4,40%,4割)などと表現します。イメージとしては「部分」÷「全体」なのですが,学校の教科書では,「割合」=「比べられる量」÷「もとにする量」と教えています。「部分」÷「全体」のほうが分かりやすいと思いますが,「部分」にあたるものが「全体」にあたるものに含まれていないことがあるのでまぎらわしいのです。上の例だと,「男子に対する女子の割合を求めなさい」という問題があったとすると,男子は女子に含まれないのでどちらが部分で全体なのか迷ってしまいます。
しかし,「比べる量」「比べられる量」「もとにする量」などの言葉を使うと,まずほとんどの子どもたちは混乱をきたします。私は,「の」は「×(かける)」,「は」は「=(イコール)」として式を書かせるようにしています。「男子に対する女子の割合を求めなさい」という問題は女子の割合を聞いていますから,式は女子から書き始めます。女子は男子の□(割合)という文をイメージして,女子=男子×□という式を書くのです。すると,6=4×□となるので,□=6÷4=
(1.5)と求めることができます。
先ほどの例だと,男子の全体に対する割合は
でしたが,これを男子は全体の
という文にすれば,男子=全体×
という式になります。全体の数が10人と分かれば,男子=10×
=4(人)と求められます。あるいは,男子の数が分かっていて全体を求めるのなら,4=全体×
より,全体=4÷
=4×
=10(人)とします。
繰り返しになりますが,問題文から「の」は「×(かける)」,「は」は「=(イコール)」にあてはまるように式を考えるようにすれば,ほとんどの問題は解決します。
次の例を見てください。( )にあてはまる数を求めます。
<例1> 400円の3倍は( )円です。
<解法> 「の」→「×」,「は」→「=」として,400×3=1200(円)と求めます。
<例2> 1200gの
は( )gです。
<解法> 例1と同様に,1200×
=400(g)と求めます。
<例3>( )mの40%は800mです。
<解法> 40%=0.4より,( )×0.4=800,( )=800÷0.4=2000(m)
実際の入試問題を見てみましょう。鷗友学園女子中学の入試問題です。
「1か月」,「3か月」,「6か月」の3種類の定期券があります。「3か月」の代金は「1か月」の代金の3倍の5%引き,「6か月」の代金は「1か月」の代金の6倍の1割引きになっています。「6か月」の代金が27000円のとき,「3か月」の代金を求めなさい。
<解法> 次のように2つの式を書きます。「の」は「×(かける)」,「は」は「=(イコール)」です。
「3か月」=「1か月」×3×(1-0.05)=「1か月」×3×0.95
「6か月」=「1か月」×6×(1-0.1)=「1か月」×6×0.9
27000=「1か月」×5.4より,「1か月」=27000÷5.4=5000(円)
よって,「3か月」の代金は,5000×3×0.95=14250(円)になります。
割合の計算をするときにミスが起こるのは,まず,問題文から式を立てることができないケースがあります。それは,「の」は「×(かける)」,「は」は「=(イコール)」として式を書く練習をすることで解決できます。次に問題が起こるのは,「逆算」と「歩合」「百分率」の処理をうまくできないケースです。式が書けても計算で間違えるのです。これらについては,次回以後取り上げていきたいと思います。

