
割合の問題では,式を立てたあとに逆算をして答えを出すというパターンがあります。前回紹介した問題をここでも取り上げます。式が多くて読みにくいかもしれません。
問題:( )mの40%は800mです。( )にあてはまる数を求めなさい。
ここで「比べられる量」「もとにする量」という言葉を使って考えようとすると,どちらがどちらなのか分からず見当違いの計算をしてしまうことがあります。「の」は「×」,「は」は「=」として次のように式を書きます。40%=0.4より,( )×0.4=800,( )=800÷0.4=2000(m)
ここでは逆算をしています。じつは,この逆算が苦手だと言う子が多いのです。きちんと式を書いたのに最後の計算で間違えるのはもったいない話です。なぜ逆算でミスをしてしまうのでしょうか。
逆算では,「足し算の逆は引き算」「かけ算の逆はわり算」などが基本的な考え方ですが,実際の問題になると分からなくなる子がいるのです。これは私の推測なのですが,「足し算の逆は引き算」「かけ算の逆はわり算」などの言葉は覚えていても,実際の式を見たときに「あれ?どうするんだっけ」となっていることが多いのではないかと思います。計算の順序が分からなくなるのです。そこで私は次のような方法を勧めています。
迷ったときは,簡単な数字を使った式を問題の式に合わせて書き,どうすれば答えが出せるかを考えるのです。特に間違いが多いのがかけ算やわり算の場合です。基本的な式として2×3=6,6÷2=3の2つを思い浮かべるようにするのがよいです。これを問題の式に合わせて考えます。
<例4> 12×( )=180 という問題だと,2×3=6という式と比べます。2×(3)=6の式で,3を求めるには6÷2=3と計算しますから,それと同じ順序で計算して( )=180÷12=15と答えを求めればよいのです。しかし,ここでよく起こる間違いが次のような例です。
<例5> 60×( )=12 これも先ほどと同じ形をしていますから,( )=12÷60=
とすればよいのですが,「かけ算の逆はわり算」と覚えていながら,12は60ではわり切れないけど,60は12でわり切れるから,( )=60÷12=5だ,としてしまうケースです。ちょっと常識ではありえないと感じられそうなミスですが,実際に私は何度もこのようなミスを目にしてきました。このようなミスを防ぐには,問題の式と同じ形の易しい式(2×3=6)を並べて,どうすればよいのか考えるのです。
<例6> 156÷( )=12 という問題だと,6÷2=3という式と比べます。2を求めるには,
6÷3=2と計算しますから,それと同じ順序で計算して( )=156÷12=13と答えを求めることができます。ここでは、わり算の逆算がわり算になっています。
<例7> 24-18÷( )=15 という問題の場合,まず18÷( )の部分を○として24-○
=15という式を考えます。ここで,5-2=3のような式と比べれば,○=24-15=9と分かるので,
18÷( )=9となります。先ほどのように6÷2=3と比べて,( )=18÷9=2と求めることができます。
実際の入試問題を見てみましょう。 芝中の入試問題です。
次の□にあてはまる数を求めなさい。 {1992-( □-83×5)}÷3=421
計算できるところは先に処理して,{1992-( □-415)}÷3=421 とします。
{1992-( □-415)}の部分を○とすると,○÷3=421となるので,6÷3=2と比べると,○=421×3=1263と分かります。1992-( □-415)=1263となり,( □-415)=○とすると,1992-○=1263となります。これを5-2=3と比べれば,○=1992-1263=729となるので,□-415=729です。よって,□=729+415=1144と求めることができます。
割合の単元では,歩合や百分率が出てきます。ここでまた分からなくなる子がいます。次回は,歩合と百分率について考えます。

