M・パリッシュの絵を元にした切り絵です
授業カリキュラムやいろいろな活動,どれを取り上げても公立中学は私立中学にはかなわないでしょう。先生方に余裕がまったくないのです。また,有名大学へ進学するには私立のほうが有利なのは,たくさんのデータから知られているとおりです。ここでは,違った面から中学受験の目的を考えてみます。
昔,こんな話がありました。ある男の子が公立中学に入りましたが,そこには運動部が野球部とサッカー部しかありませんでした。運動部を希望した100人を超える男子は,名簿順に野球部とサッカー部に自動的に振り分けられました。バスケットボールをやりたかったその子は(スラムダンクという人気漫画が連載されていた頃の話です)野球部に所属することになったのですが,結局,部活には一度も参加することなく中学生活を終えました。耐えがたく退屈な3年間だったと話していたそうです。
なぜ,2つしか運動部がないのでしょうか。運動部の担任になると,それだけで仕事の負担が増すだけでなく,練習や対外試合などで夏休みもろくにとれなくなるという先生方の本音がそこにはあるのです。担任になる先生がいなければ,クラブ活動はできません。私立中学では考えられないことです。じつはこの男の子は,私の親戚の子です。高校時代は退屈な中学生活が尾を引いたのか勉強に身が入らなくなって,心配な時期がありました。
公立中学に通っている子のほとんどは,公立高校に進学するでしょう。そこには「内申書」の問題があります。以前は相対評価といい,5段階評価で1から5までを付ける割合が母集団に対して決まっていたのですが,絶対評価に変わってからは先生の判断ですべてが決められます。カリキュラムでの指導目標を各単元で細かく決め,それに対してどの程度各生徒が到達できたかで評価するこの方式は大変手間がかかり,先生方の負担を非常に増やしました。そのために生徒への面倒見が悪くなっている現場があるのかもしれません。
この絶対評価システムは,5段階評価の4や5をあげたくてもできなかった子たちに対して救済が可能になるということが期待されたのですが,実際には先生の内申書への権限が増したため,態度が悪いとか気に入らないとかいった理由で感情的に2や3という低い評価をすることもあるそうです。「そんな態度で,内申書がどうなってもいいのか」と言われた子がいるという話を何度も耳にしました。長男や長女を公立に入れたが,次男や次女は私立という家庭が増えているという話もあります。中堅レベルの私立中学の人気が高まっているという動向から見て,まんざら根拠のない話ではなさそうです。
次回もこのテーマを扱いたいと思います。保護者や友達のことが中心になります。更新は毎週土曜日です。

