学校の選び方 1

受験する学校を決めるにはいくつかの要素がありますが,特に大事なのは合格できるのかというレベルの問題と,我が子に合っているのかという校風の問題です。

まずレベルの問題ですが,当然ながら絶対に受かりそうに無い受験はダメです。しかし現実的には無理っぽくても第1志望は偏差値の高い学校を選ぶ家庭が多いです。そこで,偏差値の高い学校について考えてみます。力不足でも,できる子たちに混じって勉強すれば影響を受けて伸びる,合格さえすれば,あとはなんとかなるというのはほぼ親の幻想です。特に大学受験をする進学校の場合,学力の差は子どもにとって負担になることが多いです。また,厳しい受験勉強から解放された子は勉強しなくなることがあります。何とか頑張る子もいますが,決して楽ではありません。

 女子校の最難関校桜蔭に合格した子の話です。彼女は卒業後,信州大学の医学部に現役で合格し,私に報告に来てくれました。そのときの話です。「3年生になって友達と大学受験の話をすることが多くなったんだけど,どこ受けるのと聞かれて,医学部と答えたら,じゃあ東大?防衛大?千葉大?と聞かれて返事ができなかった。私は信州大が第1志望だったから・・・私には桜蔭は居心地の悪い学校だった」と言っていました。見事に第1志望に合格できたのですから立派なものですが,成績上位者ではない居心地の悪さが常にあったようです。

これは桜蔭から東大に進んだあるお母さんの話です。桜蔭の同期会が開かれたとき,自然に3つの集団に分かれたそうです。東大に進んだ人たちのグループ・医者や弁護士になった人たちのグループ・それ以外のグループだそうです。あまり気持ちのよいものではありませんでしたと話されていました。別のお母さん(この方も桜蔭・東大です)にこの話をしたら,「そんなことないですよ」と笑っていました。どちらが本当なのか分かりませんが,居心地の良さは学習意欲に直結するので何が何でも上位校という考えには賛成しかねます。

 上位校は面倒見が悪いです。あれこれ指示したり管理したりしなくても,勉強する子は自分でしっかりやるからです。桜蔭から東大に合格した子が「大事なのは学校の授業よりも予備校の授業だ」と言っていました。桜蔭に限らず上位校は面倒見が良くないので,自立心が弱い子や,合格さえすれば解放されると思っていた子は勉強しなくなり,取り残されてしまいます。上位校では取り残された子を助けてはくれません。厳しい世界です。ぎりぎり届くかも知れないといって上位校を目指すのはよくある話ですが,合格したあとでうまくいかなくなることもあるのです。小学生時代に成績不振だった子が大学受験で好成績を収めたという話はまれにはあるのですが,決してよくある話ではありません。つまり,ぎりぎりで合格するような学校に入っても,苦労する可能性の方が高いかもしれないのです。

少子化によって生徒数は大きく減っているにもかかわらず,中学受験をする生徒の数は増加・高止まりの傾向にあります。その理由は,倍率が増加している学校のレベルを見るとわかります。激戦化しているのは中堅校なのです。しかも,偏差値が50を下回る学校でもこの傾向が見られるのです。つまり,大学受験に有利な有名校に受験者が集中しているのではないのです。その結果,以前は楽に合格できていた学校が,すべり止めにならなくなってきたというケースがたくさんあります。多くの塾で,進路指導ですべり止めをかなり低く設定するようになっています。これは,何を意味するのでしょうか。

この現象が意味するところは,多少レベルが低くても,公立に進むよりは私立のほうがいろいろとプラス面が多い,という判断がなされているということでしょう。

聖学院という私立高校の2年生の男子に,英語と数学を教えていたことがあります。聖学院の中学受験のレベルは,当時偏差値40を下回っていました。彼は中学受験のときにそこしか合格できなかったそうです。私はそのような低いレベル(ごめんなさい)の生徒を教えたことはなく,どんな学校なのかと気になったのですが,教えていていろいろ驚くことが多くありました。学校でやっている授業内容は結構レベルが高く、宿題などのチェックもしっかりしていてとても面倒見のよい学校でした。

部活動や課外活動も盛んで、彼は2回もオーストラリアにホームステイするなど積極的に活動し、英語には自信を持つようになりました。公立中に行くよりもよかったと親子共々納得している様子でした。彼は同志社大学に合格し、英語を生かす活動をして頑張っています。

次回もこのテーマです。ご意見ご感想ご希望のテーマなどありましたらお願いします。

挿し木から育てたバラが冬咲き寸前です