
問題を解き終わったときの注意です。書いた答えは合っているのか,落ち着いて見直すとミスを減らすことができます。急いで次の問題に取りかかる前に,ほんの数秒,問題文を読み返しましょう。問題文は何を求めるように指示しているかを確認するのです。
「A,B2つの数のうち,大きいほうを求めなさい」という問題で,小さいほうを答えていたり,「ツルの数を求めなさい」というつるかめ算で,カメの数を答えていたりというミスがよくあります。なぜそのようなミスが起こるのかというと,できた!と思った瞬間があぶないからです。
式を書き,計算をしている最中に,「よし,わかった!できた!」と思う瞬間が必ずあります。そのときに,数字を書くスピードが急に速くなることが多く,数字を書き間違えたり,計算ミスをしたり,求めなくてはならないものではないほうを求めてしまったりするのです。私は,「できた,と思ったらスピードを落として,ゆっくりやりなさい」と言っています。最後の詰めはしっかり確実にやり,ミスを防ぐのです。
試験ですべての問題をやり終えたとき,時間が残っていれば見直しをしましょう。すべての問題をやり終えたといっても,解けなかった問題があるかもしれません。「この問題は無理だ」と思ったら手を付けないで,最初の計算問題から見直しをしたほうがいいです。最初の計算問題や1行問題などの小問をすべて正解していることは,よほどの実力が無い限り,ほぼありえません。必ずどこかでミスや見落としをしているものです。それがチェックできれば得点力が跳ね上がります。前にも書きましたが,「一応,全部答えは書いた」と言う子の答えには間違いが多いです。
その見直しでは,自分の書いた式や筆算をたどるのではなく,新たにやり直すのです。自分の書いたものを目でたどると,ミスがあっても同じミスを繰り返し,気がつかないことが多いからです。また,常識的にありえない数値になっていたら解き直しましょう。たとえば,自転車の時速が50kmとか,人の体重が400kgとか,おかしな数値が出ている場合はどこかでミスをしています。解く力だけではなく,ミスを減らす力も大きな学力です。
問題を解くのが速い子よりも、遅いがていねいな子のほうが入試に強いのは、ミスが少ないからです。

