教師のプライド

理科の授業中に語呂合わせを子どもたちと一緒に作ったことがあります。水溶液の性質を調べるBTB(ブロムチモールブルー)液という指示薬があります。酸性の液体には黄色く,中性の液体には緑色,アルカリ性の液体には青色に反応します。これを覚えてもらうために私が作った語呂合わせは「アオミドロ」です。植物性プランクトンの名前ですが,ルカリ性のから始めて,黄色と読む感じです。

紫キャベツ液という指示薬もあります。強酸性で赤色,弱酸性で桃色,中性で紫色,弱アルカリ性で緑色,強アルカリ性で黄色に反応します。これを覚えるために,何か考えようかと授業で提案しました。BTB液と同じようにアルカリ性からやろうということになり,「君の村の桃は赤い」という言葉ができました。「黄色のキ,緑色のミ,紫色のムラ,桃色のモモ,赤色のアカ」です。するとある1人の子が「どっちが酸性かアルカリ性かわからない」と言ったのですが,私が「う~ん」と悩んでいたら,別の子が「最後にすっぱいをつければ?」と提案してくれ,「君の村の桃は赤くてすっぱい」が完成しました。「すっぱい」が酸性をイメージしています。自分たちの意見をまとめて作った語呂合わせは,きっと忘れないだろうなと思います。

話が変わりますが,家庭教師で5年生を教えていたときのことです。昆虫の完全変態と不完全変態の違いと種類を説明していたとき,塾で教わった語呂合わせが覚えにくいというので,「カブトムシ,ハチアリガチョウ,ハエアブカ」という完全変態の種類を覚える「五七五」を教えました(私が作ったものではありません)。カブトムシは甲虫の代表で,クワガタやテントウムシなども甲虫です。ハチ・アリ・ガ・チョウと続き,最後のハエ・アブ・カは,羽が2枚の昆虫です。これを覚えてくれた子は塾のテストできちんと正解できたのですが,採点は×でした。「なんで?」と理由を聞くと「自分が教えた語呂合わせの順に書いていないからダメだ」と塾の教師に言われたそうです。ひどい話があったものです。自分が教えたのとは違う方法で覚えていると思って、プライドが傷ついたようです。

算数でもそうですが,テストで大事なのは正しい答えを書くことです。解き方はいろいろあって当然で,下手な解き方であっても,理屈がきちんと通っていれば良いのです。教える側が自分のやり方だけを押しつけるようでは,子どもは伸びません。自主性,自発性を大切にしたいものです。

私の過去の極めて数少ない栄光の1つですが,高校の全校学力考査の数学でただ1人満点を取ったことがあります。そのときの先生の言葉は今でも覚えています。「数学で100点を取ったのはこのクラスの桜井君だけだ。最後の問題の解き方はひどいものだったけど,理屈は間違っていないから○をあげたよ」。そしてその最後の問題の解説をしてくれましたが,見事な解き方で感動しました。まぐれ的な100点でしたが,一層数学が好きになった記憶があります。子どもたちを教える側になって,ベストな解き方だけを押しつけないようにと日頃気をつけているのは,あのときの先生の影響が大きいです。

そして余談ですが,その学年450人のテストでの総合順位は7番でした。古文が平均点を大きく下回ったのです。当時,毎年東大に120名前後の合格者(現役はほぼ半数)を出していたので,自分の未来は明るいかもなどと甘いことを考えていましたが本当に甘かったです(^o^)  それにしても・・・古文は嫌いです(>_<)

次回から「平面図形」を3回続けます。読みにくいかも知れません(>_<)