
線分図の書き方というと,あまりにもレベルの低い話のように思われるかもしれませんが,きちんと線分図が書けないと簡単な問題でもミスをしてしまうことがあります。例題を見てください。
【例】A君は所持金の5分の1で本を買い,残りの3分の1で文具を買ったところ,3200円残りました。
A君ははじめにいくら持っていましたか。
(解答)次のような線分図を書きます。3200円を2で割って3倍すれば,はじめの所持金の5分の4に
なるので,計算式は下のようになります。

何ということもなさそうな易しい問題ですが,じつは線分図をきちんと書けない子が多いのです。次の例を見てください。実際に私が家庭教師で教えていた子たちの書いた線分図です。

最も多かったのはアのような線分図です。1本の線を同じ間隔で切ろうという意識がありません。点線の部分は,上下にぴったりと合わせなくてはいけません。このような線分図を書いている子は,自分の書いた線分図を見ても何のイメージもわいてこないので,正解にたどり着けません。点線の部分が上下に一致していると,何とか計算が進むのですが,正解率が高いとは言えません。
もっと困るのが,イやウのように,線分図に分数を書くタイプです。線分図は,割合(分数が多い)で示された量と全体との関係を,見た目にはっきりと分かりやすくするためのもので,そこに分数を書き込んでは何のための線分図なのかわかりません。イやウのように線分図を書いている子たちも,当然正解率は低いです。どうしてそんな書き方をするのかと聞くと,塾の先生がやっていると答えた子がいました。大変驚きました。
多くのケースから判断すると,子どもたちが上手に線分図を書けない理由は2つあるようです。1つは,教える側に問題がある,もう1つは,書こうとしてもうまく書けないからです。これについては,次回くわしく書きたいと思います。

