不運・悲しい出来事

中学受験では,予想外の不運に見舞われることがあります。悪天候と病気です。最近はあまり起こらなくなりましたが,以前は2月1日に大雪が降ることが時々ありました。ある年にも大変な大雪となり,私は桜蔭中の受験生を激励するために現場に行きましたが,まず驚いたのが,雪の積もった坂道を受験生を背負って登っていく母親を見かけたことです。背負われた子は松葉杖と鞄を手にしていました。まったく知らない親子で,あとになって思えば何か手伝ってあげれば良かったのですが,母親の強い思い,近寄りがたい雰囲気を感じて何もできませんでした。

この日に起こったことなのですが,電車が雪でちょっと止まってしまったようなのです。私は既に水道橋に着いていましたが,しばらくしてからほんの少しだけ電車が止まったらしいです。私は桜蔭中の門のあたりで受験生を励ましていましたが,試験開始時刻が近くなるとやってくる受験生もいなくなったので私は引き上げました。ところが,私のクラスの親子がその後でかなり遅れて到着したようなのです。あとでお母さんに聞いたのですが,雪で電車が1つ手前の飯田橋で止まってしまったので,そこで降りて歩いたのだそうです。家を出るのが遅れてあまり余裕のない時間になっていた上に,雪の悪路を一駅分歩いたのですから間に合うはずがありません。遅刻して受験をすることになり,桜蔭中は対応をしてくれたのですが,残念ながら合格できませんでした。「先生は待っていてくれなかった」と恨み言を言われてしまいました。

その子は無理がたたったのか体調を崩し,2日以後の受験もうまくいかず,公立中に通うことになりました。気になって後日お母さんに様子を聞いてみました。お母さんの話では,本人は至って元気に学校に通っていてむしろ自分の方が娘に励まされているようだ,受験以後親子の気持ちのつながりがより強くなったように思う,とのことでした。それを聞いて,ちょっと救われた気持ちになりました。

受験当日に熱を出して受験できなかったとか,無理して受験したけどダメだったとかという話もたまに起こります。受験が近づいたら健康管理に一層気をつけなくてはなりません。

親のウソが思わぬトラブルを招くことがあります。Aさんは,女子学院を目指して頑張っていたのですが,私はちょっと厳しいだろうなと思っていました。そこで,確実に合格できるレベルの学校を2校押さえるようにしたのですが,ここで予想外なことが起こったのです。

1月中に最初に受けたB校に合格したとお母さんから連絡があり,私は一安心しました。2月の本番に向かってAさんはちょっとはしゃぎ気味で,あまり勉強に集中していない感じで心配だったのですが,やはりその後の女子学院と第2志望の学校には受かりませんでした。数日後に報告に来られたお母さんの言葉に私は驚きました。

じつはB校にも受かっていなかったのです。受かったことにすれば元気が出て,その後うまくいくのではないかと思ったそうなのです。これはよくある話なのですが,押さえの学校に受かれば勢いが付いてそのあともうまくいくと考えるお母さんが多いのです。現実は全くそんなに甘いものではありません。Aさんのように,かえって気がゆるんでしまうケースもあるのです。

しかし,まさかB校に落ちるとは・・・何があったのかわかりませんが,Aさんの学力から考えてそれ以上レベルを下げた受験は考えられない状況でした。私の見方が甘かったのか・・・

お母さんがAさんに本当のことを話したら,意外にも冷静な返事が返ってきたそうです。「なんとなく変だとは思っていたんだ。でも公立で頑張るから心配しないで。」と。

中学入試では親子関係が非常に重要なカギとなります。しかし,受験のために良い親子関係とはどのようなものか難しいです。親子関係は他人が簡単に介入できるようなものではありません。でも、少なくとも、親子で隠し事はやめ,お互いに正直に向き合うことが必要だと思います。中学受験も子育ての中の出来事です。特別扱いは思わぬトラブルのもとになります。

今回は予定を変更しました。いじめの問題は次回になります。