よく伸びる子 4

よく伸びる子シリーズ最終回です。

「自己主張が強い」「あきらめが悪い」「自主性がある」「ていねいさがある」子もよく伸びていきます。

ある女の子が質問に来たときの話です。私の説明を一通り聞いてくれたあとでこう言いました。「その説明は分かるけど,私のやり方だとその答えにならない」・・・私は「やり方が間違っているんじゃないの?」と答え,それで済まそうとしたのですが,彼女は引き下がりません。「間違っていないと思う。私のやり方のどこがおかしいのか説明して」・・・(なんだよ面倒な子だな)・・・仕方ないので彼女のノートに書かれた式と計算を確認しました。すると,途中に1か所小さなミスがあり,そのために答えが合わなくなっていたのです。そこを直すと正しい答えにたどり着きました。「ああ,やっぱり私のやり方でも良かったんだ」と彼女はうれしそうに帰っていきました。自分が考えた解き方にこだわる自己主張の強さは,思考力,学力を伸ばすのでしょう。彼女は第1志望の御三家に合格しました。

第1志望の海城中学に合格したI君という男の子がいました。彼もよく質問をしてくれる子でしたが,私が説明をしていると,途中で必ずと言っていいほど「あ,そこからなら僕でもできる」といって,あとは自分でやっていました。毎回大量の質問を用意していましたが,説明をよく聞き,しかも最後は自力でやりたがる積極性・自主性のある子でした。国語に大きな弱点があり,それさえなければ御三家もというレベルでしたが,安全を期して余裕で海城に合格しました。

学力的にイマイチかもと感じさせる子の中で,しっかり合格していくのは「ていねいさがある」子です。直感・ひらめき・処理スピードなどはそれほどでもないのに,得点力が高いのです。このタイプに共通しているのは,「手を付けた問題の正解率が高い」ということです。

実際の入試でいうと,試験が終わった後「どうだった?」と聞かれたとき「一応答えは全部書いた」と答える子は,不合格の場合が多いです。全部で6題ある入試問題で,「3番と6番はやらなかった。5番の途中で終わった」などと答える子の方が合格率が高いのです。ていねいさのある子は,スピードは遅くてもミスが少なく,できる問題はきちんと正解するからです。入試では全部解く必要はありません。急いでミスを連発するより,解ける問題をていねいに解けばよいのです。